アメリカ版iPhone 12 ProでVerizonの5G通信(ミリ波)テスト、日本版との違いは?【2022年加筆】

アメリカのスマホ

2020年10月23日(金)、 遂にAppleからも5G対応スマホiPhone 12シリーズが発売になりましたね!アメリカ国内マーケットシェア6割を占めているiPhoneユーザーに5G対応スマホが普及していくことで、今後より5Gサービスの発展が期待できるかと思います。今回は、アメリカ携帯サービス大手の「アメスマ」を運営する筆者が購入したアメリカ版iPhone 12 Proのご紹介と、アメリカでの5G利用状況をお伝えしていきたいと思います。

 

執筆は2020年10月末、2022年2月に加筆修正しております。ここでご紹介するiPhoneや5Gに関する全ての情報は、サービス提供社の都合等により、一切の予告なく変更になる可能性がありますので、詳しくはご利用前、ご購入前に各サービス提供社のホームページ等から最新情報をご確認お願い致します。

 

アメリカ版iPhone 12とiPhone 12 Proの スペック紹介

 

アメリカ版iPhone 12 / iPhone 12 Pro

アメリカ版iPhone 12 Pro

まず早速アメリカ版のiPhone 12と12 Proのスペックを見ていきましょう。

 

iPhone 12とProのスペック比較

 

まずカラーですが、iPhone 12はブラック、ホワイト、レッド、グリーン、ブルーの5色、iPhone 12 Proはシルバー、グラファイト(ブラック)、ゴールド、ブルーの4色となっています。素材はiPhone 12が背面のガラス、側面をアルミでコーティングしているのに対し、iPhone 12 Proは背面がマットガラス、側面はステンレススチールとなっており、高級感のあるデザインとなっています。容量はiPhone 12が64GB、128GB、256GB、iPhone 12 Proが128GB、256GB、512GBと大容量となっています。これはカメラや動画のクオリティの高さに合わせて、メモリのサイズも増量しているのだと思います。

 

iPhone 12とProのスペック比較

 

一点、ここで気になるのが重さの違いで、iPhone 12は164グラムに対し、iPhone 12 Pro は228gと60グラムも重くなっています。主にガラス素材の違いから来る重量の差だと推測されますが、結構な差があるため、持ちやすさという観点ではiPhone 12の方が優れていると言えるかもしれません。

 

iPhone 12とProのスペック比較

 

ディスプレイ、チップに関しては12もProも前モデルからアップデートされているものの、両機種において違いはありません。

 

iPhone 12とProのスペック比較
iPhone 12とProのスペック比較

 

続いて、カメラと動画の機能について比較していきたいと思います。12にはなくて、12 Proにあるものに関して赤字で記載しています。まず、12 ProにはTelephoto(望遠)はありますが、12にはその機能はありません。遠くのものを撮影する際に差が出てきそうですね。望遠レンズがないため、ズームのレンジもiPhone 12はiPhone 12 Proの半分ほどしかないのが少し辛いですね。

 

また、LiDARスキャナもiPhone 12 Proにのみ搭載されている機能です。LiDAR (ライダー)はLight Detection and Rangingの略で、光をレーダーのように使い距離や物体の認識に役立てることができます。この機能があることにより、今までは夜の暗い中で撮影する際に被写体との距離感がなかなか掴めず良い写真を撮るのが難しかったですが、このLiDARスキャナを使えば暗い中での撮影もしやすくなります。Apple社の情報では、暗い場所でのオートフォーカスが以前の6倍も速くなっているそうです。

 

他にもiPhone 12 Proには、写真撮影した情報の位置情報を自動でつけるPhoto Geotaggingがあったり、写真の生データに近い形で保存できるApple ProRAWなどの機能もあり、マイナーな違いながらもApple社の写真へのこだわりが伺えます。動画に関しては、iPhone 12 ProはHDRビデオでの撮影で60fpsまで対応しているので、スポーツなど動きがある映像もより滑らかに撮影することができます。ズームもカメラ機能の差がそのまま動画にも現れており、全体を通してみると細かい違いながらもiPhone 12 Proはより上級者まで意識したプロフェッショナルなモデルと言えるでしょう。(だからProの名前が付いているわけですが笑…)

 

iPhone 12とProのスペック比較

 

最後に、対応周波数の違いを見ていきたいと思いますが、アメリカ版iPhone 12とiPhone 12 Proでは実は利用できる周波数帯に違いはありません。両端末ともアメリカで利用可能な5G電波に対応しており、高速通信が期待されるミリ波(詳しくは後ほどご紹介します)の通信にも対応しています。

 

出典:Apple社ホームページ

 

日本版iPhone 12との違い

続いて、日本版iPhone 12とアメリカ版iPhone 12では仕様がいくつか異なるため、その違うポイントをご紹介していきます。

 

まず一つ目、これは前モデルから同じですがカメラのシャッター音のあるなしです。アメリカ版はシャッター音がないので、写真を静かに撮ることができます。レストランや観光地で毎度のこと「パシャ」と音がするのは日本だとあまり違和感がないですが、アメリカだとちょっと気になりますよね。早くこの日本版特有の仕様は無くしていただきたいところですね。Appleさん、そこんとこ、ご考慮のほど宜しくです。

 

続いては、周波数帯の違い。日本の通信キャリアとアメリカの通信キャリアでは利用している周波数が異なるため、こちらも前モデルの時同様、日本版とアメリカ版で対応する周波数帯も異なります。4Gのメインバンドについては日本版、アメリカ版それぞれ日米のキャリアが利用するものに対応しているので、SIMフリーであればどちらの国でも利用可能です。(技適の問題は残ります。技適について詳しい情報は、「アメリカ版iPhoneは日本版と違う?米国モデルを購入し日本で使う際の注意点は?)」でご確認ください。

そして今回、一番お伝えしておきたい日本版iPhone 12とアメリカ版iPhone 12の違いは、なんと言っても日本版はミリ波と呼ばれる超高速の5G通信に対応していないことです。ミリ波や5Gの情報は次の章で細かく紹介していきますが、日本版はミリ波が利用できない、ということだけぜひ覚えておいてください。

 

アメリカの5G基本情報

そもそも5Gとは?

インターネットのイメージ

5Gとは5th Generationの略で、LTEという通信規格を用いた通信システム = 4Gに、更に新しい技術を加えたNRという通信規格を用いた通信システム = 5Gということになります。

 

・ポイント1:LTEからNRへ通信方式が変わる ⇒ 通信速度が速くなる × 送受信切り替え時の遅延が短くなる (→遅延が短くなることで速度が速くなったと感じる)

・ポイント2:4Gで使用していた周波数帯よりも、高周波数帯を使う ⇒ 通信速度が速くなる × 一度に送信できる情報量が多くなる (→重いデータの送受信がしやすくなることで更に速度が速くなったと感じる)

 

つまり、上記の2つのポイントを掛け合わせることによって、更に一層速く大容量のデータ送受信ができるようになると期待されています。

 

アメリカ国内では現在、Verizon/AT&T/T-Mobileと各社5Gサービスのリリースをしていますが、実情としては、やっとリリースできたもののまだ発展し始めたばかりという状態です。先ず、5Gサービスには大きく分けて2種類あります。

 

①サブ6 GHz帯、又はLow-band/Mid-band=LTEサービスを拡張したもの(ダウンロード速度:100~400Mbps程度)

※4G/LTEの一般的なダウンロード速度は1~50Mbps程度

②ミリ波(mmWave) = 本来期待されている5G(ダウンロード速度:1,000Mbps~4,000Mbps程度)

 

現時点でVerizon/AT&T/T-Mobileがサービスリリースとしているのは、サブ6 GHz帯 又はLow-band/Mid-band=LTEサービスを拡張したもの(ダウンロード速度:100~400Mbps) がメインになっています。

 

①のメリットとしては、4G/LTEで使用している電波塔等の機材を活用することで、短期間で広範囲にてサービス提供を可能としています。また、LTE同様の低い周波数帯を使用することから、障害物の多い都心部や山岳部等でもサービス提供が可能になります。速度としてはLTEよりも多少速くなるようですが、LTEと切り替わることで安定性を保つため、本来期待されている5Gの速度を出すことは難しいものになります。

 

では、②ミリ波(mmWave) = 本来期待されている5G(ダウンロード速度:1,000Mbps~4,000Mbps)はいつになったら使えるのでしょうか?!これについては、現時点でいち早くサービスリリースしているのがVerizonです。Verizonでは①を5G Nationwide、②を5G Ultra Widebandとしてサービスリリースしており、全米の一部都市の屋外でのみ、このミリ波(mmWave)の大容量超高速通信を体感することができます。Verizonのミリ波5G通信は28 GHz、39 GHzの周波数帯のいずれか、バンドで言うとBands n260、n261で提供されています。

 

但し、②のミリ波(mmWave)という電波は、障害物にかなり弱いため未だ屋内での超高速通信は実現できておらず、今後の開発において大きな課題の一つとなっています。Verizon含めAT&T、T-Mobileも今後この②ミリ波(mmWave)での通信サービスの開発・拡大に力をいれていくことになります。

 

日本の5Gについても、NTT Docomo/SoftBank/au/Rakutenが①サブ6GHz帯からのサービス提供となり、順次、都市部の駅周辺・空港・イベント会場等で②ミリ波(mmWave)の導入を進めていく模様です。

 

先ほどの章でも述べたように、日本国内で発売されるiPhone 12シリーズは、②ミリ波(mmWave)の通信に使用する周波数帯を搭載していないため、②ミリ波mmWaveには非対応となります。(アメリカ国内発売のiPhone 12シリーズはミリ波対応です。)iPhoneユーザーの割合が6割強である日本国内において、一般消費者間での5Gサービスの浸透には、もう少し時間がかかりそうな感じもしますね。日本でミリ波のメインバンドとなることが期待されているバンドが、周波数帯28 GHz帯のn257ですが、日本版iPhone 12、iPhone 12 Proはこちらの周波数帯に非対応なので、繰り返しになりますが、ご購入の際はご注意ください。

 

アメスマの紹介画像

 

実際にアメリカ版iPhone 12 Proを利用してみて気づいたこと

アメリカの国旗

 

デザインが日本版と違う

スマホの端末設定を行う日本人

基本的なカラーや容量などは、日本版もアメリカ版も同じですが、一点だけ、アメリカ版のiPhone 12 Proには写真のような部分が側面にあり、日本版iPhone 12 Proにはありません。

 

アメリカ版iPhone 12 Pro
こちらはミリ波に対応するために設計を変える必要があり、その結果としてミリ波対応のアメリカ版とミリ波非対応の日本版でデザインが変わったと言われています。大半の人はケースをするのであまり大きな違いではありませんが、機能的にはミリ波を受信できるかどうかは結構大きな差になりますので、アメリカでミリ波の5G通信を利用したい方は、日本ではなくアメリカのアップルストアでiPhone 12をゲットするようにしましょう。

 

11 Proよりさらに動画が綺麗

ニューヨーク

先ほど機能のところでカメラや動画機能の差をご紹介しましたが、改めてiPhone 11 ProとiPhone 12 Proで撮影した動画を比べるとかなり違いを感じられます。iPhone 12 Proで撮影した動画の様子は、ニューヨーク在住のインフルエンサーはるきさんの動画でよく纏まっているので、気になる方はチェックしてみてください。

 

iPhone 12 Pro|アメリカで携帯どうする?

 

5G(ミリ波)が使える

5Gのイメージ

またこちらも先ほどの機能紹介のところでも触れましたが、アメリカでは一部地域で超高速通信のミリ波の提供が開始されています。1番の先駆けはベライゾンで、ロサンゼルスやニューヨークなどの都市部でその最先端の技術が体感できます。このミリ波の様子は、アメスマのYoutubeチャンネルで動画でお伝えしておりますので、ぜひ一度ご覧になってください。

 

アメリカ版iPhone 12 ProでVerizonの5G(ミリ波)を検証

 

まとめ

コスタリカ

いかがでしたか?同じiPhone 12、iPhone 12 Pro でも小さくない違いがあることがご理解いただけたかと思います。特に対応周波数に関しては、日本版に関してはミリ波対応していないため、アメリカで普及し始めた5G(ミリ波)を利用できません。今後、電波の普及とともにiPhoneの対応周波数が変更されていくと思いますが、現時点ではシャッター音もせず、ミリ波対応のアメリカ版の方が断然おすすめです。!

 

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WRITER

【🇺🇸生活、起業、経営、投資情報発信】アメスマ社長@テキサス州ダラス。MBO&事業売却後、日米4社オーナー経営中。慶應/UC Irvine交換留学。🇺🇸11年目、Accredited Investor、投資先は米国医療機器ベンチャー。NuFund、Link-J所属。趣味:旅、サッカー、テニス、ポーカー、グルメ

iPhone 12 Proと5G対応ベライゾンSIMカード

アメリカ版iPhone 12 ProでVerizonの5G通信(ミリ波)テスト、日本版との違いは?【2022年加筆】

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